はぢめて読んだ島田氏の作品。
装丁は金子國義氏。
ぶっ飛んだ青春恋愛小説、
退廃的でありながら物凄く軽快。
お馬鹿でありながら物凄くシリアス。
群青色に灰色、そしてかすかにオレンジ色が混じるまだら模様の闇。風は空に刻一刻、飽きもせず怪物のスケッチを描いては消し、消しては描く。東には狛犬、西にはトリケラトプス、南にはゴジラ、北にひょっとこ。やがて、ゴジラとひょっとこが混じり合って、象の鼻とうさぎの耳を持った豚が生まれる。西南西の方角には突然、メガネザルの顔をしたヘラクレスが現われる。
この出だしから始まる「やけっぱちのアリス」(流刑地より愛を込めて)。
軽快でお茶目なこの始まり方に一度ぐわっと掴まれた私は、其の侭、終着点まですごい力で引っ張られてしまいました。
そもそも島田雅彦氏に興味を抱いたキッカケというのは、
以前NHKの番組で日本語について美輪明宏氏と対談なされているのを見たこと。それまで名前も知らぬ方だったわけなのだが、その時の理知的で上品な話ぶりと麗しいお姿に(小奇麗なお顔立ちですのよ)これは!と思い作品を購入。そして読んで、その容姿と作品のギャップに衝撃をうける私。
クライマックス、突然加速度を上げるあのスリル感がたまりません。
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